それはまだ暖かさが続く秋の頃、皆が寝静まる早朝に目指した先は和歌山県。人生初めての訪問です。
目的は荒木飛呂彦先生デザインの「和の守(わのおまもり)」を授かりに行くこと、そして世界遺産の熊野三山を巡ることです。
出典:
私の計画だと熊野三山を全て一日で巡るのは不可能だったので、今回は「熊野本宮大社、産田社、大斎原」と「熊野速玉大社、神倉神社」に行ってきました。
熊野三山には参拝順序があるそうで、まずは熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)に向かいました。
市街地からトンネルをくぐり抜ければ豊な自然と澄み切った川が待ち構えていて、これら自然環境との一体感を感じながらカーブを気持ちよく曲がっていくと熊野本宮大社が正面に現れました。世界遺産センターの駐車場は平日9時にも関わらずほぼ満車で、バス停はインバウンドの人たちで溢れかえっていました。さすが世界遺産です。
たくさんの木々に囲まれた熊野本宮大社は2000年以上の歴史を持つ神聖な場所なのでいざ目の前にすると気が引き締まりますね。鳥居をくぐり木々に囲まれながら階段を丁寧に登っていくと段々と心が穏やかになっていくのがわかります。
撮影場所:熊野本宮大社 撮影日:2023年10月 撮影者:高井ほた
参拝後は、授与所で「和の守」と「八咫烏ポスト絵馬」を授かりました。八咫烏ポスト絵馬とはハガキサイズの絵馬です。境内にある八咫烏ポストから切手120円*1で送ることができます。これに荒木先生へファンレターを書いたらいいじゃん!と事前に作戦を練っていたのでいざ計画実行です。切手は社務所で購入できますし、スタンプも押せます。ペンは置いてありますが私物のペンを使用しました。
デジタルが主流のこのご時世に手紙なんて滅多に書かなくなりましたが、手間暇かけて書いた手紙が持つあたたかさという贈り物は特別なものだと思います。ぜひこの場所から想いを伝えてみてくださいね。
撮影場所:熊野本宮大社 撮影日:2023年10月 撮影者:高井ほた
ちなみに熊野本宮大社には荒木先生の奉納絵が2枚(イギー、定助と康穂ちゃん)あるそうなのですが見当たりませんでした。神職とお話しする機会があったのでその時に聞けば良かったなぁ。
あと、御朱印帳のデザインが煌びやかでかっこよかったので熊野本宮大社から御朱印集めを開始しました。
そして、熊野本宮大社を訪れた際にセットで行くべきところが産田社(うぶたしゃ)と大斎原(おおゆのはら)です。
大斎原は特に記憶に深く刻まれた場所でした。ウェブ検索すると日本一の大鳥居だということに焦点を当てている情報が多かったので、見どころは大鳥居だけなんだと思っていました。ところが、せっかくだし大鳥居の先に進んでみない?という恒例の寄り道大作戦によって言葉ではうまく言い表せないほど神秘的で不思議な空間に出会えました。近くの河原には積み石があったりとこの場所の意味は深そうです。次回訪れる時までに勉強しておきます。
次に、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)に向かいました。途中の飲食店で食事をしようとしたら、本日団体貸切です。一般客の飲食できません。の張り紙が。この辺りは飲食店が少ないのと平日でも観光の団体貸切があるので要注意です。
マロン味のソフトクリームを食べて空腹を紛らわしつつ、幸福に空腹を満たすため足早に熊野速玉大社を参拝し、総本家めはりやでボリューミーなめはり寿司を頂きました。
しっかり蓄えたあとはこの旅の目玉である神倉神社(かみくらじんじゃ)に挑みました。急勾配かつごつごつした石段を登った先ににある神社です。足を踏み外したら終わります。ここは思い出すだけでもキツかったなぁ。持久走並みのスタミナが必要だし、挑む直前に食べすぎて苦しかった……。幸いトレッキングシューズ着用と動きやすい服装だったので胃の調子が悪くても何とか登り切れました。ゴトビキ岩と上から見渡す市街地はもう絶景。頑張って登って良かったー!
熊野速玉大社と神倉神社の参拝のあとは香梅堂で鈴焼を買って。いよいよこの旅に終わりが近づいてさて帰ろうと信号待ちをしていたところ目の前の店に地元の人が立て続けに入っていきました。ガラス張りのお店を外から覗いてみるとおしゃれなケーキがたくさん。人気なのがわかる!と納得し、帰宅後に4種類頂きましたがどれも大絶賛で改めて納得しました。「patisserie RaRe」さんの洋菓子たちだけのために和歌山県に行ってもいいと思えるほど美味しかったです。
いよいよ帰ろうとした時、熊野速玉大社臨時駐車場でまた帰宅を阻むものが。この謎のパネルは一体……。太陽光パネルのようででもなんか違うような?「探偵!ナイトスクープ」に調査をお願いしようかしら。
撮影場所:熊野速玉大社臨時駐車場 撮影日:2023年10月 撮影者:高井ほた
そんなこんなで今度こそちゃんと帰れるのでしょうか。いいえ、また寄り道です。「道の駅パーク七里御浜」に寄っていざ帰ろうとした時、海岸に行ける歩道橋を発見しました。どうせ今から帰っても帰宅ラッシュにはまるだろうから行ってみよう!とまるで好奇心旺盛な子供のように足取り軽く向かいます。
すると、美しい景観が現れました。すぐそこはもう海です。波の音が心地よくて今日一日の疲れがゆっくりと癒されていきました。しかし、しばらくすると穏やかだった波が突如高く力強く不規則に打ち寄せ始めました。波に攫われて飲み込まれそうで人間がコントロールできない予測不可能な自然に畏怖の念を抱きました。この自然の壮大さは人間の儚さを感じさせるものだったので人生の価値を見つめ直すきっかけにもなりました。日々を意味あるものにしよう!気持ち新たに生きていこう!と決意できるこの熊野という場所が「よみがえりの地」といわれる意味を身をもって答え合わせすることができました。
山川海、これら自然のエネルギーをたくさん浴びてエネルギーチャージ完了です。
撮影場所:七里御浜 撮影日:2023年10月 撮影者:高井ほた
今回の和歌山ぶらり旅も恒例の寄り道大作戦によって案の定計画を逸脱しました。ただ、これが意外と面白いとわかっているからこそ本能的にわざとやっているのかもしれません。寄り道した結果、今回もGoogleマップやインターネットの情報だけじゃわからない素晴らしい場所やお店があって運命的な出会いをしました。言われた場所や教えられた場所に行くのではなく自分で探し当てたときの心踊る感覚って情報が簡単に手に入る現代では貴重な体験だと思います。車から降りて自分の足で散策するといろんな発見があって楽しいです。だから寄り道はやめられないのです。
寄り道の余談ですが、実はこの日帰宅経路で事故が発生していて迂回を余儀なくされました。その事故現場はトンネル内でもし寄り道せずに帰っていたら巻き込まれていたかもしれないと思うとゾッとしました。私は神様などに対して盲目的に信仰していないのですが、参拝の時に無事帰れますようにとお願いしていたこともあり、この時ばかりは本当に神様のご加護ってあるんだ!と驚きました。神様……ありがとうございます。
さて、これだけでは熊野三山旅はまだ終われません。残すは「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)、那智の滝、補陀洛山寺(ふだらくさんじ)」です。
熊野三山の御朱印を順番に書いてもらいたいし、近々早いうちにまた訪問したいと思います。
*1:郵便料金改定に伴い値上げされる可能性がありますので都度授与所にてご確認ください。